先端生命科学研究所、脳神経細胞のコンピュータシミュレーションに成功
〜記憶のメカニズム解明に新手法〜
 (03.11.21)

慶應義塾大学先端生命科学研究所・冨田勝所長と菊地進一助手らの研究グループはコンピュータ上に神経細胞の働きを再現することに成功し、2003年11月発売の国際論文誌Neural Networks誌の「神経情報学」特集号に発表しました。

かねてより同研究所が開発してきた細胞シミュレーションソフトウェア「E-Cellシステム」を用いて、海馬(脳で短期記憶を司るとされている部位)での神経シナプスに生じる長期増強(Long-Term Potentiation, LTP)という現象を詳細に再現しました。LTPとは、一時的な刺激を与えるとしばらく興奮を続けるという現象で、脳の短期記憶の分子的な基盤であると言われています。

今回のシミュレーションでプロテインフォスファターゼ2Aという物質がLTPに重要な役割を果たしていることも明らかになりました。今後これらの研究成果が、分子レベルからの記憶のメカニズムの解明や、記憶力低下の診断・治療への応用につながることが期待されます。

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・山形新聞 11/22 20面
・荘内日報 11/26 1面
・山形放送「プラス1」

先端生命科学研究所、IBM Shared University Research Award受賞 (03.11.17)

慶應義塾大学先端生命科学研究所は、IBM Shared University Research Awardを受賞しました。

IBM Shared University Research (以下SUR) プログラムは大学の研究室等など全世界の卓越した研究機関にIBM機器の寄贈を行うものです。今回の表彰対象となった先端生命科学研究所のE-Cellプロジェクトは、その先進性と将来性を評価され、日本からは今年度初めての受賞となりました。受賞した先端生命科学研究所には、IBMコーポレーション(本社:米国ニューヨーク州、会長兼CEO:サミュエル・J・パルミサーノ)よりIBMのUNIXサーバー「IBM eServer pSeries」およびブレード・サーバー「IBM eServer BladeCenter」などが贈呈されます。先端生命科学研究所では、寄贈されたシステムを、より大規模な細胞シミュレーションを高速に行うために活用していく予定です。

受賞に際し、冨田所長は「7年前に学生たちと始めたE-CELLプロジェクトが国際的に評価されるようになってとても嬉しいです。これからも若手スタッフや学生たちと面白いことにどんどんチャレンジして行くつもりです。」とコメントしています。

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日本経済新聞 11/18 35面
・日経産業新聞 11/18 9面
・化学工業日報 11/18
・山形新聞 11/18 18面

2003.11.17 授賞式@三田キャンパスにて
左より、慶應義塾 安西祐一郎塾長、慶大・先端生命科学研究所 冨田勝所長、日本アイ・ビー・エム株式会社 執行役員 大水一彌氏

バイオファイナンスギルド2003 開催される (03.08.02)

2003年8月1日〜2日の2日間、日経BP社主催の投資家を対象としたプログラム「バイオ・ファイナンス・ギルド」が開催されました。18名の投資家関係者と地元企業経営者が、バイオテクノロジーとコンピュータサイエンスの先端技術を体験しました。

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・BIOTECHNOLOGY JAPAN
 8/1「鶴岡の慶應義塾大学先端生命科学研究所で実習はじまる」
 8/1「鶴岡実習、午後からDNAゲル電気泳動開始」
山形新聞 8/2 2面

サマーバイオカレッジ2003 開催される (03.07.30)


2003年7月28日〜30日の3日間、「サマーバイオカレッジ2003」が開催されました。これは、慶應義塾の一貫教育高等学校と山形県鶴岡市内の高等学校の生徒が当研究所に集まり、バイオテクノロジーの基礎を体験するプログラムです。高校生のバイオへの興味・探求心を引き出すことを目的として、鶴岡市と共催のもと、2001年から連続開催しています。3年目となる今年は、クラゲの緑色蛍光タンパク質遺伝子の増幅実験や塩基配列決定、その遺伝子を大腸菌に組み込む遺伝子組換え実験を行ないました。

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・山形新聞 7/29 18面
コミュニティ新聞 8/1 5面

「終止コドン無視する遺伝子」多数存在の可能性?
慶應義塾大学先端生命科学研究所のグループが国際論文誌に発表
(03.07.22)

遺伝子配列情報からたんぱく質が合成されるとき、ひとつの遺伝子情報の終結を意味する「終止コドン」と呼ばれる3塩基の配列(TAA, TGA, またはTAG)が現れると合成プロセスを終了し、たんぱく質一分子の合成が完了します。ところが、終止コドンがあるのにもかかわらずそれを読み飛ばし、たんぱく質を合成し続ける不思議な現象が存在することが知られていました。この現象は「リードスルー」と呼ばれ、ごくまれな例外的な現象またはエラーだと考えられていました。

今回、慶應義塾大学先端生命科学研究所(所長・冨田勝)の研究グループは、コンピューターを駆使してショウジョウバエのゲノム配列を網羅的に解析し、終止コドンの下流にもたんぱく質の機能配列が頻繁に存在することを明らかにしました。リードスルーしないのならば、終止コドンの下流に機能配列を持つ意味はないはずなので、この研究結果は、リードスルーはかなり頻繁におきている可能性を示唆しています。またリードスルーによってたんぱく質の機能を調節・制御している可能性も示唆しています。すなわち、リードスルーとはエラーではなく、生命活動の一環として積極的に行っているのではないか、と考えられます。

通常「遺伝子」とは終止コドンまでの配列のことを指すので、この研究結果は「遺伝子」の定義を変えてしまうことになるかもしれません。

本研究の中心となったのは、総合政策学部4年の佐藤みさき君と環境情報学部2年の梅木瞳君。この研究成果は7月22日発刊の国際論文誌Bioinformatics誌に掲載されました。

佐藤みさき君は「国際論文誌に発表できてとてもうれしい。今後はマウスやヒトゲノムで同様の解析を行ってみたい。」とコメントしています。また、共著者である齋藤輪太郎環境情報学部専任講師は「学部生がこのような大きな研究成果を出したことは快挙だと思う」とコメントしています。

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毎日新聞(山形) 8/21 21面

慶應義塾大学発バイオベンチャー企業
 「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社」設立
 (03.07.07)

慶應義塾大学先端生命科学研究所の冨田 勝教授及び曽我朋義助教授らは、同研究所のメタボローム(細胞内全代謝物)測定・解析技術をベースに慶大発バイオベンチャー企業の「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社」(HMT社) を設立しました。

今春、国から「バイオキャンパス特区」として認定された山形県鶴岡市に本社を置き、設立当初は先端生命科学研究所および湘南藤沢キャンパスで研究開発を実施します。

同研究所ではキャピラリー電気泳動装置(CE)と質量分析装置(MS)を組み合わせて細胞内代謝物を一斉に、かつ、短時間で測定・解析する技術の開発を続けてきましたが、昨年、慶應義塾大学知的資産センター(TLO)を通じて特許も取得しており、この技術の利用をHMT社のビジネスの中心に置きます。現在はその技術をバクテリアやイネの代謝物解析に応用していますが、ヒト細胞に応用することによって創薬や診断、オーダーメイド医療など幅広いビジネスに展開できると判断して企業化に踏み切りました。1年以内に、数千種類あるヒトの代謝物すべてを24時間以内に測定できる技術の確立を目指します。

冨田教授は「山形県と鶴岡市から支援を受けて行ってきた研究の成果をもとに、事業化にむけて第一歩を踏み出すことができました。県民、市民のみなさんに感謝するとともに、まだまだ道のりは長いですので今後ともご支援ご理解をどうぞよろしくお願いします。」とコメントしています。

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BIOTECHNOLOGY JAPAN
日本工業新聞 7/8 1面
日本経済新聞 7/8 17面
・朝日新聞(東京) 7/8 33面
朝日新聞(山形版) 7/8 31面
・日刊工業新聞 7/8 5面
・日経産業新聞 7/8 6面
・産経新聞(東京) 7/8 8面
産経新聞(山形版) 7/8 26面
河北新報 7/8 26面
山形新聞 7/8 20面
荘内日報 7/9 1面トップ

慶應義塾大学先端生命科学研究所のバイオ新技術 
 先端技術大賞 日本工業新聞社賞を受賞
 (03.06.24)

先端生命科学研究所の曽我朋義環境情報学部助教授は「メタボローム(細胞内全代謝物質)測定法の開発」により、「第17回独創性を拓く先端技術大賞」(日本工業新聞社主催)の「日本工業新聞社賞」に選出されました。

先端技術大賞は、「科学技術創造立国 ニッポン」の実現に向け、優れた研究開発成果をあげた全国の研究者、技術者を表彰する制度です。2001年からノーベル化学賞を受賞された白川英樹博士を名誉審査委員長に迎え、審査委員長の柳田博明・名古屋工業大学学長をはじめ産学を代表する審査委員が「学生部門」と「企業・産学部門」の応募を審査し、本表彰制度を通じて、若手の研究・技術水準の向上を目指しています。

「第17回独創性を拓く先端技術大賞」の授賞式・レセプションは7月10日午前11時から、高円宮妃殿下のご臨席を賜り、東京・芝公園の東京プリンスホテルで開催されました。

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・日本工業新聞 6/24 1,2面
荘内日報 6/26 1面
コミュニティ新聞 7/1 6面
・日本工業新聞 7/10 2面
・日本工業新聞 7/11 1,2面

2003.7.10 授賞式@東京プリンスホテルにて
左より、慶應義塾 斎藤信男常任理事、同大・環境情報学部 曽我朋義助教授、筑波大学 白川英樹名誉教授、慶大・先端生命科学研究所 冨田勝所長、鶴岡市 富塚陽一市長

バーチャルバクテリア国際会議 開催される (03.06.23)
 

2003年6月23日から25日の3日間、慶應義塾大学先端生命科学研究所にて、「First IECA Conference on Systems Biology of E.Coli」を開催しました。外国人研究者23名を含む、国内外の35名の研究者が、バーチャルバクテリア構築に向けた研究事例に関する口頭発表を行い、73の演題のポスター発表が行われました。2002年のノーベル医学生理学賞を受賞したシドニー・ブレナー氏が基調講演を行ないました。

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・日刊工業新聞 6/19 4面
・日経産業新聞 6/19 8面
・山形新聞 6/24 20面

荘内日報 6/25 1面

大学関係では全国初の特区適用
 鶴岡キャンパスの環境情報学部助手ら中国人研究者3名
 (03.06.11)

今春、「鶴岡バイオキャンパス特区」に認定された鶴岡市にある先端生命科学研究所の中国人研究者3名が、特区の効力で在留期間の延長を申請し、6日認められました。特区申請が認められたのは鶴岡キャンパス在住の環境情報学部助手の花強(ホア・チャン)さんと趙佼(シャオ・ジャオ)さん、そして先端生命科学研究所所員の楊(ヤン)チェンの3名。特区適用は大学関係では全国初です。

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・日本経済新聞 4/18 35面
荘内日報 4/23 1面トップ
山形新聞 4/11
・山形新聞 4/16 1面
・毎日新聞 6/5 19面
・朝日新聞 6/5 31面
山形新聞 6/5 1面
荘内日報 6/7 1面

先端生命研 開発のメタボローム解析新技術、
 2002年に読まれた日経バイオニュース 年間ベスト10にランクイン (03.01.06)

2002年5月に発表された慶應義塾大学先端生命科学研究所西岡研究室によるメタボローム分析システムの新技術開発のニュース記事が、日経BP社配信のメールマガジンにおいて、 【2002年に読まれた <キャンパスニュース> 年間ベスト10】の第9位にランクインしたことが発表されました。

メールマガジン「BTJ /HEADLINE/NEWS」は、日経BP社が運営するバイオテクノロジーのポータルサイト「Biotechnology Japan」(Webmaster: 同社バイオセンター長 宮田満氏)が発行している国内最大のバイオ関連e-mailニュースで、バイオ研究者やバイオ産業関係者約50,000人が購読しています。

開発に携わった曽我朋義助教授は「開所1年あまりで、大きな成果を出せてとてもうれしいです。」とコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

荘内日報 1/22 1面



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