第一回メタボローム国際会議、日本開催決定 (04.12.13)

国際メタボローム学会(Rima Kaddurah-Daouk会長)は、12月13日(日本時間14日)にフロリダで行われた定例ビジネスミーティングにおいて、第一回メタボローム国際会議を日本の山形県鶴岡市で開催すると発表しました。 日程は2005年6月20日〜23日で、慶應義塾大学先端生命科学研究所(冨田勝所長)とヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)(HMT社)(本社鶴岡市・大滝義博社長)が主管となります。

「メタボローム」とは生体内に数千種類存在する代謝物質の総称のことで、米国立衛生局(NIH)では「ゲノム」「プロテオーム」に次いで最近多額の研究費を計上したばかりです。ヒトや微生物、植物などのメタボロームを解析することで創薬や診断などの医療産業、および発酵や育種などの食品産業に革新的なインパクトを与えると期待されています。

2004年秋に国際メタボローム学会(本部:米国ボストン)が設立され、第一回国際会議の開催地について議論されてきました。鶴岡とボストンが最終候補に残り、長い議論の末、最後は学会理事全員一致で鶴岡が選出されました。ボストンは第二回(2006年)の開催地となります。

鶴岡市の慶應義塾大学先端生命科学研究所では、2001年4月の開所当時からメタボロームの重要性に着目し、高速なメタボローム解析技術を開発して特許を取得したり、いち早くベンチャー会社を起業して産業応用するなど、この分野で世界最先端をリードしてきました。

国際メタボローム学会理事のひとりである冨田所長は
「メタボローム分野では日本が世界の先頭を走っているということが国際的に認められ、とても名誉なこと。近代五輪の発祥地がギリシャであるのと同じように、メタボロームの発祥は日本の鶴岡だということが長く記憶されるだろう。」とコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・山形新聞 12/15朝刊 20面
・荘内日報 12/16 1面
・山形新聞 1/5朝刊 21面
・朝日新聞 1/8 26面
コミュニティ新聞 1/14

アントレプレナーアワード2004受賞 (04.11.24)

11月23日〜24日に六本木ヒルズにて開催されたSFC OPEN RESEARCH FORUM2004で、アントレプレナーアワード2004が発表されました。詳細はこちらをご覧ください。

先端生命科学研究所で研究を進める関山和秀君(環境情報学部4年)と菅原潤一君(環境情報学部2年)のSpiber (蜘蛛糸繊維開発)が特別賞を受賞し熊坂環境情報学部長より表彰されました。学部学生唯一の参加者でしたので大健闘です。

また、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)の大橋由明さん(元環境情報学部助手)がGold賞を受賞し、斎藤常任理事より表彰されました。

関山君は、 「審査委員に『競合相手は?』と聞かれたときに、『NASAと米国防省です』と答えたことが評価されたようです。鶴岡の独自技術を持ってすれば決して引けをとらないと考えています。」とコメントしています。

2004.11.24 授賞式@六本木ヒルズにて
上段左より:菊地助手、大橋氏、斎藤常任理事、熊坂環境情報学部長、冨田所長
下段:菅原君(環境情報学部2年)、関山君(同4年)

先端研のシミュレーションソフトウェア開発

戦略的創造研究推進事業に選出される (04.9.22)

慶應義塾大学先端生命科学研究所所長・冨田 勝教授の研究プロジェクトが、独立行政法人科学技術振興機構(理事長:沖村憲樹)の戦略的創造研究推進事業における平成16年度 チーム型研究(CREST)「シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築」領域(研究総括:土居範久)に選出されました。

詳細はこちらをご覧ください。

冨田所長は「生命現象のシミュレーションはきわめて重要できわめて複雑かつ困難な課題です。世界一のバイオシミュレーションソフトウェアを開発したい。」とコメントしています。

21COEワークショップ 統合システム生物学 若手の会開催 (04.9.22)

2004年9月20日〜22日の3日間、慶應義塾大学先端生命科学研究所(所長:冨田 勝)キャンパスセンターにおいて、「COEワークショップ 統合システム生物学 - 若手の会」が開催されました。(主催:慶應義塾大学21世紀COEプログラム生命科学分野「システム生物学による生命機能の理解と制御」)。
 この会議は、世界レベルの研究拠点を選定し、予算を重点配分する文部科学省の事業21世紀COEプログラムの一環として開催されたもので、慶應義塾大学のCOEプログラム「システム生物学による生命機能の理解と制御」に参加している大学院生28名が発表を行いました。
 慶應義塾大学のCOEプログラム「システム生物学による生命機能の理解と制御」では、慶應義塾大学の3つの専攻(理工学研究科医学研究科政策・メディア研究科)と先端生命科学研究所における得意分野(ゲノム・プロテオーム・メタボローム解析、バイオプローブ創製技術、細胞内生命現象解析技術)を融合させ、システム生物学による生命機能の理解と制御を目指していますが、同時に学生を本プログラムに積極的に参加させ、キャンパス間の垣根を越えて研究・教育拠点を形成していることも大きな特徴となっています。
 ワークショップ開催にあたり、冨田所長は「最先端分野の若手研究者が結集する貴重なワークショップであるとともに、慶應の医学系、理工系の学生に鶴岡を紹介する絶好の機会です。学術的議論のみならず、鶴岡の自然や味覚もぜひ満喫してもらいたいと考えています。」とコメントしました。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・山形新聞 9/21 18面


バイオファイナンスギルド2004開催 (04.8.27)

2004年8月27日〜28日の2日間、日経BP主催の「バイオファイナンスギルド」が当研究所において開催されました。17名の投資関係者が参加し、バイオの最先端の実習を体験しました。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・BIOTECHNOLOGY JAPAN
 8/27「鶴岡実習始まる、無細胞たんぱく質合成系に挑戦」
 8/27「無細胞たんぱく質合成にあっさり成功、メタボロームの講義と見学始まる」
・山形新聞 8/28 6面

慶應サマーバイオキャンプin鶴岡2004初開催 (04.8.16)

2004年8月16日〜18日の3日間、全国の高校生を対象とした「慶應サマーバイオキャンプin鶴岡2004」が開催されました(後援:山形県、鶴岡市)。これは、遺伝子工学やゲノム情報のコンピュータ解析などの実習体験を通じて、高校生のサイエンスへの興味・探求心を引き出すことを目的とし、今年はじめて開催されたものです。実習内容は当研究所の最先端の実験施設をフルに活用し、PCRによる遺伝子増幅実験、遺伝子塩基配列決定、大腸菌を使った遺伝子クローニング、コンピュータ解析による遺伝子機能予測など多岐にわたり、当研究所のスタッフ及び大学院生が指導にあたりました。

全国から集まった19名の高校生は、大変積極的にバイオの実習に取り組み、遅くまで議論を交わしました。参加者からは「高校の生物の授業で生命の神秘に興味を持ち、最先端の生物学を学びたいと思って参加したが、その希望に200%以上応えてくれるキャンプだった。」「全国からたくさんの人が集まり、本当にいい刺激になった。この出会いは一生の宝物。」などの熱いメールが今も寄せられています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・荘内日報 8/19 1面
・土曜ほっとリポート「山形の元気をつくる産業」(YTS,8/28放送)

サマーバイオカレッジ2004開催 (04.8.5)

2004年8月5日〜7日の3日間、「サマーバイオカレッジ2004」(共催:鶴岡市)が開催されました。これは、慶應義塾の一貫教育高等学校と山形県鶴岡市内の高等学校の生徒が当研究所に集まり、バイオテクノロジーの基礎を体験するプログラムで、今年で4年目になります。鶴岡市内から9名、慶應義塾から11名の計20名の生徒が、バイオの実習を体験しました。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・山形新聞 8/6 20面
・荘内日報 8/7 1面

ミトコンドリアの働きのコンピュータ上再現に成功 (04.7.23)


慶應義塾大学先端生命科学研究所の柚木克之研究員と冨田勝教授の研究グループは、ミトコンドリアの働きをコンピュータ上に再現することに成功しました。 このモデルを用いて、コンピュータ上で遺伝子異常や代謝異常をバーチャルに発生させ、ミトコンドリア病の治療法や診断法の開発に貢献することが期待されます。

ミトコンドリアはヒト細胞内の小器官であり、ヒトが取り込んだ酸素の約90%を使って筋肉の動きや細胞分裂などに必要なエネルギーを生産するいわば「細胞の発電所」です。ミトコンドリアに異常があると、パーキンソン病や心筋症など様々な疾患を引き起こしますが、その病理学的なしくみは未解明のことが多いです。今回、同グループは、研究所が開発した細胞シミュレーションソフトウェア「E−CELL」を用いて、ミトコンドリア代謝のほぼ全体を再現するシミュレーションモデルを完成させました。ミトコンドリアの一部分を再現した研究は過去にも存在しますが代謝全体を再現したモデルは世界で初めてです。

この成果は7月22日発行の英国の国際論文誌Bioinformatics誌に掲載されました。
このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・日刊工業新聞 7/26 25面
・化学工業日報 7/26

ひとつの遺伝子から複数のたんぱく質を生成するための暗号を同定

慶大4年生の論文が国際専門誌に掲載される  (04.6.23)

慶應義塾大学環境情報学部4年生の伊藤ひとみさんが先端生命科学研究所において、鷲尾尊規講師と冨田勝教授の指導のもとに行った研究成果が、「RNA Society」が刊行する国際専門誌『RNA』の7月号(6月22日発刊)に掲載されました。(RNA Volume 10, Issue 7 :p.1005-1018 (2004)HITOMI ITOH1, TAKANORI WASHIO1, MASARU TOMITA Computational comparative analyses of alternative splicing regulation using full-length cDNA of various eukaryotes )大学生が第一著者の論文が国際専門誌に掲載されるのは極めて異例なことです。

昨年(2003年4月)に解読が完了したヒトゲノムの解析によると,ヒトの遺伝子数はたかだかショウジョウバエの2倍程度で、イネよりも少ないとされます。この限られた遺伝子情報から複雑なヒトの細胞機能を実現するためには、ひとつの遺伝子から複数種類のたんぱく質を生成する「選択的スプライシング」というメカニズムが極めて重要な役割を持つと考えられていますが、その詳しい機構はよくわかっていません。本研究ではバイオインフォマティクスの手法を駆使し,遺伝子配列中の「GAAGAA」かそれに類似した配列が選択的スプライシングの制御に深く関与していることを突き止めました。

ヒト、マウス、ショウジョウバエ、イネ、シロイヌナズナの5種類の動植物のゲノム配列と発現配列(cDNA)をコンピュータで大規模・網羅的に解析したところ、選択的スプライシングによって複数種類のたんぱく質を生成する遺伝子には、一種類のたんぱく質しか生成しない遺伝子に比べて、GAAの繰り返し配列(またはそれに類似した配列)が有意に多く存在していることを見出しました。このことは、DNAのGAA繰り返し配列に結合する因子が、選択的スプライシングのオン・オフの制御に深く関与していることを示唆しています。GAA繰り返し配列に結合する因子はすでにいくつか同定されているため、本研究成果は未知の部分が多い「選択的スプライシング」のしくみを解明するための重要な鍵となりえます。

研究を行った伊藤さんは「2年近く試行錯誤を繰り返してようやくたどり着いた研究成果。学部卒業前に国際論文誌掲載が決まったことは夢のよう」とコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・日刊工業新聞 6/24 32面

味の素、慶大発バイオベンチャー企業と共同研究開始  (04.6.11)

慶大発バイオベンチャー企業のヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(HMT社)(本社:山形県鶴岡市 社長:大滝義博) と、味の素株式会社(本社:東京都中央区 社長:江頭邦雄)は、メタボローム解析法を用いた微生物の代謝産物の測定に関する共同研究を6月1日より開始しました。

先端生命科学研究所所長・HMT社取締役の冨田氏は、「鶴岡発の新技術が食品産業に応用されることはとても嬉しいことです。新製品開発に貢献できるよう、HMT社社員一同がんばります。」とコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

BIOTECHNOLOGY JAPAN 6/11
・山形放送「プラス1」 6/11
・日本経済新聞 6/12 10面
・フジサンケイビジネスアイ 6/12 4面
山形新聞6/12朝刊 8面
・産経新聞6/12朝刊 25面
・河北新報6/12朝刊 11面
荘内日報6/13朝刊 1面トップ記事
・朝日新聞6/13 朝刊 33面
・化学工業日報6/15朝刊
・読売新聞6/18朝刊 29面

先端生命科学研究所、「科学技術政策担当大臣賞」(産学連携推進会議)受賞  (04.6.3)

慶應義塾大学先端生命科学研究所所長・冨田 勝教授、曽我朋義助教授、同大学知的資産センター 清水啓助所長は、第3回産学官連携推進会議(主催:内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、日本経済団体連合会、日本学術会議)において産学官連携功労者表彰の科学技術政策担当大臣賞を受賞しました。

詳細はこちらをご覧ください。

冨田所長は、「山形発の新技術が認められたことはとても嬉しい。今後はこの技術を様々な分野に応用して、世界が驚くような成果を数多く出していきたい。」とコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

・日経産業新聞 6/8
・山形新聞
6/5 20面
荘内日報 6/5 1面

2004.6.20 授賞式@国立京都国際会館にて
左より、慶應義塾大学知的資産センター 清水啓助所長、慶大・先端生命科学研究所 冨田勝所長、同 曽我朋義助教授

先端生命科学研究所、世界初の革新的な生体シミュレーションソフト開発  (04.3.3)

先端生命科学研究所の高橋恒一研究員らは、細胞や臓器などの生体活動をコンピュータでシミュレーションするための革新的な手法を開発した、と3月1日発刊の英国際論文誌Bioinformatics誌に発表しました。

生体は数千・数万の物質や酵素反応をはじめとした様々な生命現象が絡み合った複雑なシステムですが、これを理解するために不可欠な手段としてコンピュータシミュレーション技術が近年注目を集めています。生体のシミュレーションが難しい点は、多種多様な化学反応、物理現象が混在している点にあり、その複雑な現象を再現する”統合的なシミュレーション手法”の開発に各国の研究者が挑戦していました。

今回高橋研究員らは、それぞれの反応に対して別々の計算手法を用い、かつ全体をひとつのシミュレーションとして実行できる基盤ソフトウェアを世界で初めて開発しました。このソフトウェア「E-Cellバージョン3」を用いれば、各生体機能に最も効率の良い計算手法を別個に用いることが可能になり、シミュレーションを用いた生物研究の適用範囲が格段に広がります。

中心的役割を果たしてきた高橋研究員は「大規模な生体シミュレーションは今世紀最大の科学的挑戦の一つ。E-Cellはこのための汎用ソフトウエア基盤として世界で唯一。これを一歩に今後もこの分野の先端で貢献を続けたい。」、冨田勝教授は「E-Cellプロジェクトのメンバーの多くは学生。そのフレッシュで自由な雰囲気が、斬新なアイデアを育んだと思う。」とそれぞれコメントしています。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

BIOTECHNOLOGY JAPAN 3/3
・日刊工業新聞 3/4
・山形新聞 3/4

・日経産業新聞 3/5

曽我助教授、第4回慶應義塾大学知的資産センター賞を受賞  (04.1.19)

先端生命科学研究所の曽我朋義助教授の発明「陰イオン性化合物の分離分析方法及び装置」(特許第3341765号)が、平成15年度の慶應義塾大学知的資産センター賞に決定しました。

詳細はこちらをご覧ください。

シスメックス、先端研と糖尿病の診断・治療方針決定のための支援システムを共同開発 (04.1.13)

シスメックス株式会社(社長:家次 恒、本社:神戸市)は、ITを活用して糖尿病患者の診断および治療方針決定のサポートを行う「糖尿病マネジメントシステム」を大阪府立成人病センター中島弘医長、慶應義塾大学先端生命科学研究所・冨田勝所長・内藤泰宏講師と共同で開発したことを発表しました。

このニュースは下記のメディアでも報道されました。

BIOTECHNOLOGY JAPAN 1/14
山形新聞 1/14 6面
・荘内日報 1/15 1面



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